BMW G450X 余談
HusqvarnaのTE449が納車されました。北イタリア、ミラノの郊外、バレーゼ湖のほとりカシネッタ村に本社と工場を持つハスクバーナは、現在、法人としてBMWの傘下にある会社です。TE449というエンデューロバイクは、BMWのオフロードコンペティションプロジェクトであるG450Xの流れを汲むものです。コアキシャルトラクションシステム(スイングアームと同軸のドライブシャフト)、前傾したDOHCエンジンはクランク軸が通常とは逆回転で、カウンターシャフトを配してコンパクト化、ダウンドラフトに近いインジェクション吸気...等々、すべてBMW G450Xから受け継がれたものです。
BIGTANKの読者ならばこのマシンによるエンデューロ世界選手権への挑戦のストーリーも知っていると思います。2007年に本格的な参戦を開始、2010年まで続けられました。G450Xは、クロスカントリーレーシング、エクストリームイベントでは充分な活躍をしましたが、エンデューロ世界選手権は苦戦の連続でした。各国のナショナル選手権のレベルでは充分なパフォーマンスを披露しましたが、世界選手権では、あと一歩のところでなかなか勝てない。サルミネンが2009年の終盤に勝ち星を挙げていますが、KTMのジョニー・オベールが怪我で不在だったGPでのことでした。
苦戦の連続。そのイメージもありますが、一般的なライダーがコンペティションユースにするにしても少し手強いところがあるマシンでもあると思います。とにかく軽量コンパクトでレスポンスの良いエンジン、というのが現在の定番です。BMW G450Xは、その点ではコンペティション専用という感じではありません。ですが、ポテンシャルが低いということはまったくないと思います。サルミネンが戦ったのは、世界の頂点のまたその頂点の一角です。クロスカントリーシリーズでは、シモ・キルシが連戦連勝を続けました。エルズベルグでも、ルーマニアクスでもリッテンビッヘラーがいつも6位以内に入っていました。
この写真を見てください。純正オプションのアクラポビッチをつけただけ、まったくのスタンダードのBMW G450X、どこにも戦闘的なところがなく、市街地にも良く似合うこの姿。ガレージからそのまま走り出して、近郊のトレイルへ、気兼ねなく走っていって帰ってくる。そんな使い方にぴったりのゲレンデシュポルトです。開発者のひとりがこのバイクの外観のデザインについて話してくれたところでは、特に黒のフロントマスクにこだわったと言います。これは、初代のゲレンデシュポルトというべき、BMW R80G/Sのそれをコピーしたものだと。ぼくは、これはコンペティション用として評価するのはもったいないと思います。
G450Xは、おそらく現在では中古市場でしか入手できないと思います。
写真は2008年スペインのマラガにて Photo : Haruki
